行政事件訴訟法は、行政事件訴訟の統一的基本法(1962年)です。

違法・不当な行政上の公権力の行使に対する不服,処分取り消し,裁決取消し,無効確認,および処分・裁決不作為の違法確認などの行政訴訟に関して規定しています。

かかる行政事件訴訟法の特徴は、以下の通りです。

1.行政事件に関する争訟である。つまり、行政法の解釈・適用に関する訴訟事件である。

2.裁判所による独立した司法権の立場からの審査である。

3.正式な訴訟手続(口頭弁論と証拠調べ)を中心とする公開の対審手続に基づく裁判である。

4.不服申立て前置主義を原則廃止した(明治憲法下の「訴願前置主義」との断絶)。

5.概括主義を採用した(明治憲法下の「列記主義」との断絶)。
6.内閣総理大臣の異議の制度を置いた。
7.行政事件訴訟法に定めがない事項については民事訴訟法の例によるとされ(第7条)、自己完結されていません。

このことは、現行の行政事件訴訟法が過渡的な制度であって、将来的には自己完結した行政訴訟法制度の構築を目指していることを示すものとおもわれます。